Artist

大山エンリコイサム(Enrico Isamu Ōyama, 1983年生まれ)は、東京を拠点に活動する現代美術家。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。
大山エンリコイサムは、日本とイタリアという二つの文化的背景をもつアーティストとして、グローバルな視点で「線」「流動」「記号」をテーマに独自の抽象絵画表現を展開してきました。
彼の代表的なシリーズ〈Quick Turn Structure(QTS)〉は、グラフィティ文化のリズムや筆致を再構築し、都市的エネルギーと絵画的抽象が融合する新たなビジュアル言語として高く評価されています。

初期活動とルーツ
ACTIVITIES AND ROOTS.
幼少期から日本とイタリアの間を往来し、異なる文化・言語・価値観に触れる中で、「一つの枠に収まらない表現」への関心を深めていきました。大学在学中には、ニューヨークのストリートアートやグラフィティ文化に強い影響を受け、そこに存在する匿名性・即興性・社会へのメッセージ性に魅了されます。
やがて自身の作品の中で、グラフィティ的な線や構造を抽象化し、都市のリズムやエネルギーを視覚化する独自のモチーフ「Quick Turn Structure(QTS)」を確立。
この反復する有機的な線の構造体は、彼の作品を象徴するアイコンとして世界的に知られるようになりました。


作風と思想
STYLE AND PHILOSOPHY.
大山エンリコイサムの作品は、一見ストリートアートを思わせる即興的な筆致を持ちながら、その背後には日本的な“間”や“余白”の感覚、そしてイタリア的な構築性・装飾性への理解が共存しています。
彼の制作は、アクリル絵具によるキャンバス作品にとどまらず、壁面ペインティング、デジタルアート、ファッションブランドとのコラボレーションまで幅広く展開。アートとデザイン、ハイカルチャーとストリートカルチャーの境界を横断しながら、「21世紀の視覚言語とは何か」を問い続けています。

国際的活動
INTERNATIONAL
ACTIVITIES.
2011年のニューヨーク滞在以降、大山エンリコイサムは本格的に国際シーンへと活動の場を広げます。
2011〜2012年には、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の招聘アーティストとしてニューヨークに滞在し、現地のストリートアート文化と抽象表現主義を横断する制作を行いました。
その後、ロンドン(Daiwa Foundation)やカンザス州のMarianna Kistler Beach Museum of Art、そして日本国内ではNakamura Keith Haring Collection、**慶應義塾大学アートセンター(KeMCo)**など、多様な文化圏で個展・プロジェクトを展開しています。
近年では、
“Like A Prime Number”(ロンドン・2016)
“Ubiquitous”(アメリカ・2017)
“VIRAL”(日本・2019–2020)
“Abstractions / Extractions”(東京・2024)
といった展覧会で、線の生成、複製、拡散といったテーマをグローバルな社会文脈の中で探求しています。
これらの活動は、グラフィティやポップカルチャーを源流としながらも、「西洋的抽象」と「日本的余白」の両方を内包する稀有な作品として、国際的コレクターや美術館から注目を集めています。
コラボレーションと社会的発信
Collaboration and
Social Communication.
大山エンリコイサムはアートの枠を超え、ファッション・デザイン分野にも積極的に参加しています。
Comme des Garçons、shu uemura、JINSなどとのコラボレーションは、彼の線的モチーフ〈QTS〉を都市文化の象徴として昇華し、日常とアートの接続を実現しました。
また、批評家・研究者としても活動し、著書『ストリートの美術――グラフィティ文化論』(LIXIL出版)、『ストリートのリアル――ニューヨーク・ライティング・カルチャー探訪』(青土社)などで、グラフィティ文化を社会・美学・思想の側面から分析しています。
このように、彼は単なる「ストリートの作家」ではなく、アートの本質と表現の自由を思想的に問う「知的アーティスト」としても知られています。


現在と展望
CURRENT
AND
FUTURE
OUTLOOK.
大山エンリコイサムは東京を拠点に活動を続けながら、国際的な展覧会・レジデンスへの参加を継続しています。
デジタルメディアやAI表現など、新しいテクノロジーを取り入れたシリーズも始動しており、「線の抽象」を現代社会の情報構造やネットワーク文化と接続する新たな挑戦を行っています。
ギャラリー6.5では、彼の作品を「現代日本アートが世界と交わる象徴」として紹介します。
